パーキンソン病を発症すると、
幻覚の症状が見られることがあります。
その多くが虫や動物、人などで、例えば
・ネズミがうろついている
・小さい子供や人が遊んでいる
・蛇が這いずり回っている
などの対象がはっきり見える特徴があります。
発症してからの病歴が長いこと、
治療薬の副作用の双方が原因だと
考えられています。
但し、どの薬による副作用なのか特定するのが
困難な場合があるため、神経伝達物質の
ドーパミンを増やすLドパ以外の薬を減量
または中断してみる処置が取られます。
それでも改善されなければ、
アルツハイマー病の薬や抗精神病薬の追加を
考える必要がありますが、現在の保険では
アルツハイマー病の薬をパーキンソン病の
患者の方に適用することは出来ないため、
主治医と相談する必要があります。
ところで、高齢になるに連れて、
パーキンソン病と認知症を併発する方も
少なくありません。
パーキンソン病を発症する前に、
認知症を患う方もいますが、
その病名を「レビー小体型認知症」と
呼ばれるものの、どちらの病気も
本質的には差がないと考えられています。
レビー小体は、αシヌクレインという
特殊なタンパク質が中枢神経系や
末梢自律神経系に多数沈着する現象で、
神経細胞の変性・脱落をさせて様々な
障害をもたらすと考えられています。
「幻覚」と「錯覚」は違うもので、
幻覚は五感を刺激するものがないのに
実在しないものを感じるものに対し、
錯覚は視覚を刺激されたことで起こる
見間違えです。
パーキンソン病で認知症も患う方は
幻覚、レビー小体型認知症の方は
錯覚の方が多い傾向が見られます。
影が作られやすい室内だと
幻覚や錯覚を見る可能性が高まりますので、
白熱灯に統一したり、部屋間の明るさの
バラつきをなくすなどの対応が必要です。
パーキンソン病を発症して、
病歴が長かったり、薬の副作用のために
幻覚が見られることがあります。
ご本人が幻覚を自覚しており、
生活に不自由がなければ問題ありませんが、
症状が悪化するようであれば
医師と相談する必要があります。